「営業戦略を立てるには、何から始めたらいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか?成果に繋がりやすい営業につなげるためにも、いかに営業戦略を立てるかが非常に重要です。
本記事では、営業戦略の立て方や役立つフレームワークについて紹介していきます。
目次
営業戦略とは
営業戦略とは、売上向上やシェア確保など営業目標を達成するために立てられる計画です。企業によって営業目標は異なり、各社の営業目標・売上目標に合致した営業戦略が求められます。
一般的に中長期的な会社業績の向上を目指し、売上の確保・向上、シェア拡大など、企業としての方針を目標・計画に反映させることが多いです。
営業戦略と営業戦術の違い
営業戦略に似ている言葉で、よく同じような場合に用いられる言葉に、営業戦術というものがあります。
営業戦略は「どのような市場で、どんな方を顧客にし、どのサービス・商品を中心に販売していくか」であり、営業戦術は「具体的にどのように販売していくのか」という違いがあります。
イメージとして、営業戦術のさらに大枠の販売方法や方向性を考えたものが営業戦略と捉えると理解しやすいかもしれません。両者を整理すると以下の表のようになります。
営業戦略 | 営業戦術 |
中長期的なゴール・目標を策定する
具体例:3年後にはA商品の売上を5倍に増やす。 |
営業戦略に沿ったKPIなどの短期的な目標を策定する
具体例:営業メンバーを10名採用する。定期的にB商品の既存顧客へのアップセルの提案をする。毎日新規顧客開拓の電話を10件以上行う。等 |
営業戦略のさらに上位の戦略・概念に経営戦略等がありますが、営業戦略はこの経営戦略に沿って立案されることが必要があり、営業戦術は営業戦略に沿って立案される必要があります。
なぜならば、戦術として行った施策や行動が成果が出ない場合に、何を基準に評価・修正すべきかわからなくなってしまうためです。そのため、経営戦略や中長期的な営業戦略を立てずに短期的な営業戦術だけを決めないように注意が必要です。
具体的に、自社が参入する(している)市場や競合の分析などを行い、自社にあった営業戦略を練っていく必要があります。
営業戦略の立て方4つのステップ
ここでは、実際に営業戦略を立てる流れについてポイントを押さえながら解説していきます。
市場調査
新しい商品・サービスを売るにしても、顧客に受け入れられなければ売れません。質の高い営業戦略を立てるためには、市場の調査や分析が必要です。具体的には以下のような調査・分析を行います。
- 市場の動向
- 市場の価格
- ターゲット顧客
- 顧客のニーズ
- 競合他社の営業戦略
例えば、自社が参画している市場が、競争が激しい市場「レッドオーシャン」か、競争がなく安定した収益が得られる「ブルーオーシャン」なのかによって取るべき戦略が異なります。
市場調査を行うことで、市場における自社の立ち位置や強み、顧客が求めているものなどが明確になり、効果的な営業戦略の策定や実際の営業につながります。
現状分析・課題の把握
市場分析を踏まえた上で、自社の現状や営業における課題を明確にしましょう。現状をぼんやりと理解するのではなく、具体的な数字を確認することによって、自社の営業・販売における課題を発見することができます。
営業が抱える課題は以下のようなものが挙げられます。
- 営業活動が属人化しやすい
- 引き継ぎ時のミスや漏れが多い
- 顧客の管理が不十分
- 新規開拓がうまく行えない
- 見込み顧客数が足りていない
課題を把握できないことには、適切な営業戦略は立てられません。課題を隈なく洗い出して、具体的な施策につなげていきましょう。
課題解決策の検討
抽出した課題をもとに解決策を検討します。対応策・解決策には以下のようなものが考えられます。
- 新しい営業手法を取り入れる
- 営業活動の工程を見直す
- 営業支援ツールを導入する
- 業務の一部を委託する
- 営業人員を増員する
営業支援ツールや外部委託は費用がかかります。解決したい課題や達成を目指す目標と費用のバランスを考えながら検討しましょう。
目標の設定
課題解決策や対応策を検討した上で、目指すべき目標(KGI・KPI)を決めましょう。営業の場合、売上や粗利率、顧客獲得数などが目標として設定されます。
中長期的なゴールや目標(KGI)については、自社の経営戦略に沿ったものを立案し、達成するべきさらに手前の数値はKPIとして設定しましょう。ここで設定するKGIが営業戦略、KPIが営業戦術となります。
営業戦略・営業戦術を設定することで、業務に関わるメンバーが足並みを揃え、共通の目標に向かって進むための指針となります。また、目標が明確であることで、進捗度の確認や取り組みの改善につながります。
営業戦略の立て方のポイント
ここまでご紹介したステップに沿って営業戦略を立案していけば、営業戦略自体を作ることは可能です。しかし、営業戦略の立て方にはさらに注意するべきポイントがあります。営業戦略の立て方としてのポイントを3つご紹介します。
ランチェスター戦略
営業戦略の立て方の1つのポイントは、使えるリソース・資源をできるだけ1点に集中させる戦略の立案をすることです。
自社のリソースは限られており、現状よりも効率的・効果的に使わない限り、目標達成が難しいことがほとんどです。全ての面において他社よりも勝とうとしても、全てが中途半端になってしまって、結局成果を挙げられないことも少なくありません。
そのため、できるだけリソースを一点集中させ、一点突破の形で営業戦略・戦術を立案、実行していくことで、中小企業でも勝ち残っていく道筋を描くことができるのです。こういった一点集中・一点突破の戦略を「ランチェスター戦略」と呼びます。
自社が最も勝てる(アドバンテージのある)部分を探し、そこにリソースを一点集中で投下して勝ち残っていくような営業戦略を立てるように考えていきましょう。
できるだけシンプルな戦略・目標
営業戦略や設定する目標は、できるだけシンプルなものにすることをおすすめします。
なぜならば、営業戦略は、チームや会社全体で共有するもののため、長かったり、複雑な戦略を説明しても、全てのメンバーが理解することが難しかったり、メンバーによって解釈に大きな差が出てしまったりするため、戦略・戦術の実現が難しくなってしまうからです。
営業戦略や目標はできるだけシンプルに具体的なものの方がよく、メンバーで共有しやすいため、実現可能性が上がるように設定すると良いでしょう。
営業戦略策定後の具体的な進め方
営業戦略を立てたからといって、営業がうまくいくとは限りません。ここでは、営業戦略策定後の具体的な進め方について紹介します。
KPIの設定
戦術したように、営業戦略(KGI)を立てたら、適切なKPIを設定します。KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字をとったもので、「重要業績評価指標」を意味します。営業戦略を立てたとしてもそれに沿った適切なKPIになってなければ、目標は達成できないことになります。
具体的には以下のような関係になるようにKPIを設定するとよい設定状況といえます。
KGI(営業戦略) | KPI(営業戦術) |
年間売上1億円 | 商品平均単価:100万円
成約率:10% 商談数:1,000件 アポイント獲得率:5% 商談依頼数:20,000件 |
このように、戦略や大枠の目標を分解することで、各フェーズごとにどれくらいの数字を達成すれば良いのかがわかります。これらの中から件数として達成可能なものをKPIとして掲げると、メンバーも理解がしやすく、稼働しやすいKPI目標設定となるでしょう。
ただし、「毎日1,000件の電話がけをする」などの無理のある目標設定は、メンバーのモチベーション低下や、設定した営業戦略・営業戦術を形骸化させてしまう恐れがあります。
分析や自社の現状をもとに、現実的なKPIを設定するようにしましょう。
効果検証と改善を繰り返していく
KPIを設定したら、実際に運用を始めて定期的に進捗を確認します。KPIを設定するだけでなく、PDCAサイクルを回していくことが大切です。PDCAとは、以下4つの頭文字を取ってつけられた業務改善・生産性向上を促す技法です。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
どんなに市場分析を徹底し具体的な営業戦略を立てたとしても、思い通りに行かなかったり、計画にズレが生じるケースは少なくありません。
例えば、「100件電話をかければ、1件の商談アポイントが獲得できると考えていたが、実際には200件電話をかけなければ1件獲得できなかった」というケースです。
そのため、計画を立てて最後まで確認しないのではなく、定期的に細かくPDCAを回しながら、さらに細かい問題・課題を洗い出して分析し、改善を繰り返していくことで、経営戦略の目標達成に近づいていくため、非常に大切です。
営業戦略に役立つフレームワーク・思考方法
営業戦略の策定において役立つフレームワーク・思考方法を紹介していきます。
3C分析
3C 分析とは、以下の3つの頭文字を取ってつけられた、自社の現状や市場環境を把握するためのフレームワークです。
- Customer(市場、顧客)
- Competitor(競合)
- Company(会社)
3Cを行うことで、自社の強みや弱みを把握できたり、顧客のニーズを理解することが可能です。事業をどの方向にどうやって進めて行けばいいか、その方向性が見えてくるので、営業戦略の策定に役立ちます。
PEST分析
PEST分析とは、以下の4つの頭文字を取ってつけられた、自社を取り巻く外部環境が、現在または将来にどのような影響を与えるか、把握・予測するための手法です。
- Politics(政治):規制・規制緩和、国の政策、税制の見直しなど
- Economy(経済):景気、インフレ・デフレの進行、為替、金利、経済成長率など
- Society(社会):世帯数、世論、教育、犯罪、環境、健康、文化など
- Technology(技術):技術革新、特許、情報提供企業の投資動向など
PEST分析は、外部環境を4つの切り口で見ることで、営業戦略やマーケティング戦略上の機会と課題を発見できます。
SWOT分析
SWOT分析とは、以下の4つの頭文字を取ってつけられた、企業の内部環境と外部環境を把握するためのフレームワークです。4つの要素はそれぞれ内部環境と外部環境、さらにプラスの要素とマイナスの要素に分けられます。
- Strength(強み):内部環境/プラス要素
- Weakness(弱み):内部環境/マイナス要素
- Opportunity(機会):外部環境/プラス要素
- Threat(脅威):外部環境/マイナス要素
プラス要素 | マイナス要素 | |
内部環境 | 強み(Strength)
自社の持つ強みや長所 |
弱み(Weakness)
自社の持つ弱みや短所 |
外部環境 | 機会(Opportunity)
社会や市場の変化などでプラスに働くこと |
脅威(Threat)
社会や市場の変化などでマイナスに働くこと |
内部環境は「自社に関する情報」、外部環境は競合、見込み客、経済、政治など「自社をとりまく外部の状況」を指します。SWOT分析は、自社の経営や事業を取り巻く環境を多面的に分析することが可能です。その中で他社がマネしにくい自社の強みがあれば、営業戦略は、具体的かつ強固なものになります。
営業フローの効率化に役立つツール
ツールを活用することで、より効率的かつ効果的に営業活動を行うことができます。営業フローの効率化に役立つツールを2つ紹介します。
SFA(営業支援・商談管理システム)
SFAは営業活動を一括で管理できるシステムです。営業活動におけるプロセスや進捗状況、顧客との関わり方などを可視化することができます。また、営業活動のデータやノウハウを蓄積することにより、業務効率化・標準化などが期待できます。
リスト作成ツール
リスト作成ツールは、ターゲットとなる顧客や見込み顧客の情報を取得しリスト化してくれるシステムです。
営業戦略を成功に導くためには、見込み顧客が必要です。しかし、自分で作成するとなると、情報収集・整理に時間と労力を要します。リスト作成ツールでは、リスト作成の作業を自動化することで、業務の効率化を実現できます。
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まとめ
今回は、営業戦略の立て方や活用できるフレームワークについて紹介しました。より効果的かつ効率的な営業を行うためにも市場環境の分析や顧客のニーズを把握するのが重要になります。
どんなジャンルの商品・サービスを提供するにしても、必ず競合他社がいます。自社の強みは何かを把握したうえで戦略を立てて、営業活動を行っていきましょう。
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