営業で商談を成立させるためには、まずは顧客の心をガッチリとつかむ話術が必要不可欠です。そのためには、SPIN話法を取り入れた話術を取得するのがいちばんの近道です。こちらの記事では、SPIN営業の重要性や活用方法、コツを紹介しています。
目次
SPIN営業とは
SPIN営業という営業方法を見聞きしたことがありますか?
SPIN営業とは、顧客の潜在的ニーズに働きかけて、商談成立を目指すための営業方法です。
顧客のニーズは顕在的ニーズと潜在的ニーズがあり、顕在的ニーズでは顧客がすでにサービスを必要としている状況です。
それに対して潜在的ニーズでは、顧客自身が自覚していないニーズを意味しています。
つまり、顧客が目の前にあるサービスに対して必要か否かがわからず、サービスの利用をためらっている状態だということです。
たとえば、漠然と転職を考えている場合に、転職したいという気持ちが強ければ転職エージェンシーに登録するという行動に出るでしょう。
一方、本当に転職したいのかどうかがわからない状態では、転職エージェントを利用しようかどうかを迷っている状態です。
そして、心の奥底に潜んでいる「転職したい」という潜在的ニーズに働きかけて、サービスの利用に導くのがSPIN営業だということです。
SPIN営業の重要性
顧客がすでに欲しいと感じている商品があれば、わざわざ営業活動をしなくても簡単にサービスを販売できる可能性があります。
しかしそうでない場合では、サービスに対して売り込みをかける必要があり、どうかすると強引な営業という印象になりかねません。
一方、SPIN営業なら、あらゆるテクニックを駆使して顧客の潜在的ニーズを引き出す方法であるため、顧客に対して強引な営業という印象を与える可能性が低いのです。
つまり、売り込みがないため、顧客は心を開きやすくなり、高額なサービスでも販売しやすくなるということですね。
SPIN営業における4つの質問と具体例
SPIN営業は、「Situation」「Problem」「Implication」「Need payoff」という4つの質問で構成されています。
それでは、それぞれの質問の具体例について見ていきましょう。
Situation:状況質問
現状質問とは、顧客が現在置かれている状況に関する質問を意味します。
たとえば、上記で例に挙げた転職であれば、現在の就業業況をヒアリングし、どのような点に不満があるのか、反対にどのような点に満足しているのかなど、現在の状況を深掘りした質問をすることになります。
なお、状況質問は現状を把握するために行うものですが、唐突に質問をしてしまっては顧客が驚き、心を閉ざしてしまう可能性が否めません。
そうならないためには、まずは顧客の言葉に耳を傾け、その上で頃合いを見計らって「質問してもよろしいでしょうか?」というように、自然な流れで質問に持ち込むことが大切です。
Problem:問題質問
状況質問で得た回答の中から、どのような問題があるのかを突き止め、「もしかすると、この部分に問題があるのかもしれません」というように、問題提起をします。
たとえば転職の話なら、
「福利厚生に不満があるのではありませんか?」
「月の手取り額に不満があるのではありませんか?」
というように質問します。
そして、このときに注意していただきたいのは、問題について矢継ぎ早に質問をしてしまわないということです。
矢継ぎ早に質問をしてしまうと、顧客は強い圧を感じる可能性がありますので、顧客もしっかりと発言できるような配慮をするよう注意しましょう。
Implication:示唆質問
問題を先延ばしにしているとどのようなことが起こる可能性があるのかという点について示唆します。
たとえば、「手取りの給料がこのままでは、人生の目標が遠のく可能性があるため、現状を打破する必要があるのではないでしょうか?」といった質問が示唆質問になります。
Need payoff:解決質問
問題を解決できたと仮定して、顧客にどのようなメリットが生まれるのかなど、顧客の将来像をイメージしてもらった上で、本当はどうなりたいのかについての質問を投げかけます。
この質問は最終質問になりますが、ここで畳みかけるような質問を繰り返したり、自社サービスを強引に進めたりするなどしてしまうと、顧客はその圧に引いてしまい、逃げたいと感じる可能性があります。
そうならないためには、理想の将来像に行き着くにはどうすることがベストなのかを顧客自身に考えてもらい、最終的にサービスの利用につなげることが大切でしょう。
SPIN営業をうまく行うためのコツ
SPIN営業は、顧客の心理に沿った質問を行い、潜在的ニーズに気付いてもらう手法を取り入れた営業方法です。
しかし、SPIN営業であっても、ことがうまく運ぶとは限りません。
こちらの章では、SPIN営業をうまく行うコツについて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ターゲットを決める
SPIN営業では、あらかじめターゲットを決めて行いましょう。
こちらの記事では、漠然と転職を考えている人を例に挙げて紹介していますが、このように「転職」というキーワードでターゲットを決めれば、おのずと転職エージェントなどを利用する可能性がある人にアプローチできるでしょう。
事前の情報収集を行う
SPIN営業では商況質問が入り口となりますが、その際に大切なのは、あらかじめ顧客に関する情報収集をしておき、質問に臨むということです。
それにより、顧客の状況をより詳しく聞き出しやすくなるだけでなく、的外れな質問をしてしまうリスクも軽減できます。
S⇨P⇨I⇨Nの流れに沿って質問する
SPIN営業の手法は少々難易度が高いと感じることがあり、その理由としては、順番を守って質問をしなければならないという点が挙げられるからです。
しかし、いきなり示唆質問や解決質問をしてしまうと、顧客としては「こちらのニーズを聞かず、いきなりサービスを押し付けてくる」という印象を持つことがあり、商談成立が難しくなるのです。
SPIN営業で商談を成立させたいのなら、質問の順番をしっかりと頭に叩き込んだ上で営業活動に臨みましょう。
ヒアリングに徹する
SPIN営業のかなめとなるのは、「とにかくヒアリングに徹する」ということです。
よくある失敗例として挙げられるのは、顧客の意見や希望をしっかりとヒアリングせずに、自社サービスの売り込みに入るということです。
そして、この方法では顧客の信頼を得ることはおろか、押し売り感が強くなって顧客は逃げたいと感じるでしょう。
反対に、きちんとヒアリングをされて潜在的ニーズに気が付いた顧客なら、よりサービスに興味を持ちやすく、サービスを利用したいという気持ちになりやすいのです。
訪問後にヒアリング内容をメールする
SPIN営業は、訪問して終わってしまってはいけません。
SPIN営業で大切なことは、顧客のヒアリングをまとめた内容の文章をメールで送って初めて、第一段階が終了となります。
それをしておくことで、顧客は自分の潜在的ニーズに改めて気づかされることになり、サービスを利用したいという意欲が高まるでしょう。
まとめ
今回はSPIN営業の概要と成功させるためのコツについて紹介してきました。
SPIN営業は顧客の潜在的ニーズに働きかける手法の営業であるため、営業経験が少ない場合ではハードルが高いと感じるかもしれません。
しかし、顧客の潜在的ニーズに働きかけることができれば、より提供しているサービスの成約率が高まるのです。
企業全体の売上向上に貢献したい、より多くの顧客を獲得して営業成績や利益を上げたいとお考えなら、ぜひこの機会にSPIN営業をマスターしてみてはいかがでしょうか。
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